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少年サッカー指導の考え方
「少年は小さな大人ではない」。
これが少年サッカー指導の出発点です。
一生サッカーとつき合っていくことのできる「サッカープレーヤー」にするために、
小学生年代でとんな指導が望ましいか考えていきましょう。
6.正確な技術と状況判断のできるプレーヤーに〜何を伝えるか〜
「意図のある技術の表現」であるサッカーの「基礎技術」(スキル)を少年たちに伝え、「スキルフルプレーヤー」をつくるために、以下の点を考えなければなりません。
@スキルとしての正確な技術の習得
正確な技術とは、「思ったところにボールをコントロールする能力」です。「コントロール」とは、トラップなどで止め、自分の支配下に置くことだけでなく、思ったところにボールを運ぶ、キックやヘディングで送り込むことも含まれます。
まずボールを止めること。目標はどんなボールでもワンタッチで思うところにボールをコントロールすることです。
そこには、相手との駆け引きも含まれてきます。
ボールを「運ぶ」技術は、ドリブルをさしますが、ただ足でボールをコントロールしながら進むのではなく、突破のドリブルなのか、キープのためのものか、あるいはプレーを展開するためのものか、目的に応じたドリブルができることが求められます。そのための体の使い方、ステップのとり方などが重要になります。
最後にキック。状況や目的に応じて、いろいろな種類のキックができるようになることを目指します。
低学年では、ひとりでできることを多くすることが目標です。これは純粋なテクニックの問題です。
さらに、止めたボールを相手に取られないこと、できれば相手を抜いていくことを目標とします。
高学年では、味方の2人以上の関係を知り、その関係のうえに立ってテクニックを使うことを覚えます。これが「判断と意図を伴ったテクニック」、すなわち「スキル」です。
また、パスとドリブルの使い分けも、高学年ごろから少しずつできていくはずです。
A状況判断の習慣づけと的確な判断能力の向上
「状況判断」というと、非常に高度で難しいことと思われがちですが、サッカーの場合、机の上に図面を広げて熟考するというようなものではなく、すべでの判断は瞬間的に下されなければなりません。したがって、「状況判断」の大部分は、状況を見て、たとえば「あそこにパスだ!」と感じるようなこととなります。
当然、そのためには、「周囲を見ること」、そして「プレーする前に考えること」が必要な要素となります。
見で収集した「情報」を「予測→判断→創造→突抜」とつなげていくことで、初めて「状況判断に基づいたスキル」が発揮されるのです。
●判断すること
現代のサッカーは「スピードが決定的要素」といわれますが、そのスピードとは、単に走る速さだけでは不十分です。「判断の早さ」が、「スピーディーなプレーができる選手」には不可欠なのです。
「情報収集→予測→判断→創造→実践」とつながる回路を、スムーズにするためには、判断すること、決断することの習慣をつけなければなりません。日常生活から自分で主体的に物事を判断し決めるスタンスをもたせること、そして、サッカーの練習では、この回路をスムーズにするような練習プログラムを用意しなければならないのです。
また、主体的に判断できるプレーヤーを育てるには、練習の場をエンジョイできるものにすることも大切です。自由な発想を認め、「正解、不正解」で割り切るのではなく、主体的な判断とプレーを奨励しなければなりません。
答えを先に与えて反復練習させることはもちろん、「考えること」自体を押しつけることも有害です。
精神的にプレッシャーをかけることなく「考えなければうまくいかない」状況に追い込む練習メニューが必要です。
「うまくやりたいから考える」という状況を設定することができれば少年たちはそのなかで楽しんで自由な発想を展開してくれるはずです。
こうした練習には、「ゲーム形式」が非常に有効です。ルールはできるだけ簡単にして、「何を考えたらいいか」をあくまで少年たちに委ねるようにします。あとコーチに必要なのは、「観察すること」と「忍耐すること」のふたつです。
●見ること
「見る」ことは、あらゆるスポーツに共通する大切な要素といえるでしょう。社会生活のなかでも、次の行動を予測し、実行するための判断基準になります。
ただ、「コーチに『周囲を見なさい』とよく言われますが、何を見ていいかわかりません」という声をよく耳にします。
「見るべきもの」が視界にはいっていても、それを見ようという意図がなければその情報は脳にまでは伝わりません。サッカーにおいて「見る」とは、どういうことなのでしょうか。
第1に、何を見るか。
ボール、味方、相手、自分の位置、ゴール そしてオープンスペースを見ます。
第2に、いつ見るか。
まずボールがないとき。ここでは、「情報収集」を行います。次の展開を予湘し、「こんなことをしてやろう」と創造力を発揮させます。
次にボールを受ける直前。ここでは「情報の確認」が行われます。前の段階でつかんでいた情報を確認し、状況を判断して自分のプレーを決断しなければなりません。
そしてボールをプレーしながら。ここでは「変化への対応」が求められます。予定どおりにプレーが運ばないと判断したら、次のプレーヘとやり直しをしなければならないからです。
小学生年代では、首を振って「見る」ことを意識づけ、習慣づけることが目標となります。
●「見えていない」プレー
では、実際のゲームで「見えていない」と、どういうブレーになるのでしょラか。攻撃と守備の両面で考えてみましょう。
攻撃面では、以下の5点があげられます。
1、自分より良いポジションにいる味方がボールを受ける状態にあるのにパスができない。
2、相手が「狙っている」方向に、パスやボールコントロールをしてしまう。
3、前を向くことのできる(振り向くことのできる)スペースがあるのに後ろにプレーしてしまう。
4、有効にオープンスペースにはいっていくことがでさない。
5、味方と同じスペースを狙って走ってしまう。
守備面での問題点は以下のとおりです。
1、ボールと相手の両方を常に視野に入れるという「守備の原則」を守ることができず、ポシションの修正ができない。とくに小学生では、ボールぱかりを見すぎて、背後やサイドへのランニングに応対できない。
2、危換なオープンスペースに気づくことができず、そこを相手に利用されてしまう。
●ルックアップ(顔を上げる)
たとえばゲームのなかで、いくら「見なさい」、「考えなさい」と言っても、見ることのできるプレーヤー、すなわち判断のできるプレーヤーと、見ることのできないプレーヤー、すなわち判断することのできないプレーヤーは歴然としています。見ることのできないプレ−ヤーは、いつまでたっても見ることができず、いい判断が下せません。
その違いは、「姿勢」にあるのです。プレーのなかで、「ルックアップする(顔を上げる)」ことができれば、見ることは簡単です。見ることができれば、判断も伴ってきます。しかし姿勢が悪く、顔が上がらないと、周囲を見るのは不可能です。
「判断の悪い選手」、あるいは「見えていない選手」の大半は、自分のところにボールがはいると、顔が上がらなくなってしまうところに原因があるのです。
たとえば、ボールを止めてパスをする。簡単なプレーです.ボールを止めるときには、原則としては誰でもボールを見ます。グラウンダーのボールであれば下を向き、最終的には自分の足元を見るような形になります。マラドーナでもペレでも同じです。しかし「見えていない選手」は、この後顔を上げることができないのです。すっと顔が上がればパスの相手の位置を再確認できますが、顔が十分に上がらず、しっかりと見ることができないと、味方の受け手がどんなパスをどこにほしいのか、知ることができないのです。 「顔を上げる」とは、アゴを上げることです。そのためには、できるだけ上体を立て、姿勢をよくすることが必要になります。前傾姿勢のまま「上目づかい」で見ようとするプレーヤーがいますが、それでは十分に見ることができません。
さらに、「顔を上げる」ことによって、味方に「わかってるよ」と示すことにもなります。
サッカーがスピーディーになっていくと、この「目を合わせる」ことが非常に重要になってきます。「アイコンタクト」と言いますが、目と目で見つめ合って指示するわけではありません。サッカーでは、目が合えば、 かなりの情報を伝え合うことができるのです。
少年期のサッカー指導では、ボールをコントロールしたら自動的に「顔を上げる」習慣を自然につけさせることが、何よりも大事なのです。
Bボールをもっていないとき
チームメートがボールをもっているときに、パスを受けるポジションをとり、ボールをもっているプレーヤーにプレーの選択肢を増やしてあげることで、ゲームがスムーズに運びます。「ボールなしの動き」は、スキルフルプレーヤーになるのに非常に重要な要素ということができるでしょう。
ボールが自分のところにないときには、ルックアップし、状況をつかんでおくことが大きな仕事です。そして次のプレーの意図をはっきりもつことです。
オープンスペースを見つけること。それを生かすこと。オープンスペースをつくり出す動きなどができなければなりません。
次のプレーは突破なのか、サポートして展開なのか、それとも、味方のためにスペースをつくることなのか。それを的確にできる選手がスキルフルプレーヤーなのです。
「ジュニアサッカー小学生の練習メニュー」編著 横浜マリノス より
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